令和5年1月1日からヘッドライトの検査方法が変わる!古いクルマは要注意

 

クルマを走行させるには車検を取る必要があり、自家用車の新車は3年、以後2年ごと車検を受けなければなりません。

 

車検では様々な保安部品を検査し、保安基準に適合している場合のみ新しい車検証を発行しますが、このほどヘッドライトの基準が厳しくなり物議をかもしているので考えてみました。

 

古くからヘッドライトテストはハイビームのみ車検で検査が行われてきましたが、平成10年9月1日以降に製作されたクルマは、ロービームでの検査に変更されていました。しかし、検査場に専用検査機器が行き渡るまでの措置として、ハイビームでの検査も特例で認められていたのが現状です。

 

それが、令和5年1月1日から平成10年9月1日以降の製作されたすべてのクルマは、ロービームでの検査に完全に切り替わるアナウンスを出しています。主な記事では自動車技術総合機構 北陸信越検査部ですが、調べたところ北海道の旭川事務所でもパンフレットが出ていました。

 

今回の変更は、多くの古いクルマがヘッドライトテストで弾かれることを意味しており、10年落ち程度のクルマを所有しているとかなり厳しいといえるでしょう。

 

まず、どんな検査方法がヘッドライトに行われているのか解説すると、今までのハイビームの検査では、ヘッドライトの色、明るさ、そして照射方向が検査対象でした。

 

検査で落ちるクルマの多くは光軸が狂っている場合が多くみられましたが、ヘッドライトの光軸調整は簡単だったので、ヘッドライトで車検に通らずに困ることはほぼありませんでした。

 

しかし、今回の新しい検査方法は、ロービームでの検査で、色、光量、そして配光特性が検査されます。この配光特性が曲者で、ロービームをスクリーンなどに照射してそこに映し出される形で検査されます。

 

今までは、特例としてロービームで検査に不合格になっても、再度ハイビームで検査して合格になれば車検にパスできましたが、令和5年1月からハイビームによる再検査は行われなくなります。

 

これが非常に問題で、レンズ表面やリフレクターの劣化が起きると、配光に乱れが生じて検査に合格できません。つまり、古くなり黄ばみが出ているようなヘッドライトやくすんでいるヘッドライトは車検に受かるのが厳しいということです。

 

そのため、ネットでは多くの方が古いクルマを増税し、さらに車検も通らなくするような制度をするなんて、古いクルマを日本から完全に締め出そうとしていると反感が多くなっています。

 

 

そもそも古いクルマのパーツは、すでに欠品なので手に入りにくくなっていることから、ヘッドライトの劣化で交換が必要となっても、交換するパーツ探しが非常に困難になるということです。

 

さらに、中古品を見つけたとしても、同じ年代を歩んできているので必ずしも状態が良いとは言えないでしょう。

 

このようなことから、旧車乗りを筆頭に、多くの方から非難の書き込みが散見されます。

 

 

多くの方は、ヘッドライトが黄ばむことを知っており、それがポリカボネート樹脂のせいだということも知っている方が多くなっています。

 

そのため、樹脂をやめてガラスに変えるべきといった話や、メーカーもレンズだけ交換できるヘッドライトを用意するべきといった意見も聞かれます。

 

 

しかし、ガラスは重く、形状も今のヘッドライトのように奇抜なデザインは難しいでしょう。とくに燃費や環境対策が厳しくなっている現状では、軽い樹脂のほうが分があり、ガラスに戻ることはないといえます。

 

ヘッドライトに使われるポリカボネート樹脂は紫外線に弱いことをメーカーももちろん知っているので、紫外線に強いアクリルハードコートを施工しています。

 

しかし、長年使用するとアクリルハードコートが剥がれてポリカボネートを紫外線が攻撃して黄ばみが発生する仕組みです。

 

そこで、メーカーでもアクリルハードコートを再施工するサービスを行っています。それをすれば、黄ばみを除去して新たにハードコートするので車検も問題ないといえるでしょう。

 

 

ここで注意が必要なのは、ヘッドライト磨き剤で自分で磨き、市販のコーティングで代用を済ませないことです。じつはコーティングの多くは、コーティング自体は耐紫外線対策をしていますが、紫外線を透過させない能力がありません。

 

つまり、市販のコーティング剤ではヘッドライトを黄ばみから守ることは不可能です。また、市販のクリア塗装も紫外線にそれほど強くないのでお勧めできません。

 

このように、市販品で対策してもすぐに黄ばみが発生するので一時しのぎにしかならないことを覚えておいたほうが良いでしょう。

 

そして、リフレクターの劣化ですが、こちらはくすみや剥がれなどで光量が落ちます。さらに使用するバルブの熱量が大きいとリフレクターの損傷は大きくなるでしょう。

 

そこで、リフレクターが劣化した場合は、アルミテープが有効です。ヘッドライトを殻割する必要がありますが、それができればアルミテープで光量を取り戻せます。

 

また、どうしても殻割できない場合や、自分で修理が難しいと考えるなら、専門のメッキ工場に依頼するときれいになって返ってきます。

 

このように、劣化して新品も手に入らずに車検を諦めるしかないと考える方もいますが、今は修理して復活させる方法も多数あるので、車検制度が変わったからと悲観することなく、様々な修理に挑戦すれば大切な愛車を手放すことなどないでしょう。