G7各国が使用した世界最強マシンたち
参照元:https://twitter.com/ukyou_hskxbknqn/status/1660585435817730048
G7広島サミットにアメリカ、カナダ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、日本の各国首脳が集まり、経済、政策、保健、安全保障など、さまざまな世界的な問題について話し合いがされました。
この集まりで各国首脳が使用したクルマに注目された方も多いでしょう。特に有名なのはアメリカ大統領専用車であるキャデラック・ワン、通称ビーストですが、沿道にビーストが登場すると歓声も沸きあがっていました。そんな世界最強マシンの秘密を探ってみました。
今回各国首脳が使用したクルマは、日本の岸田首相がトヨタセンチェリー、アメリカのバイデン大統領が使用したのがキャデラック・ワン、そしてそのほかの首脳が使用したのが1世代前のBMW7シリーズでした。
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まず、我が国の総理大臣からです。専用車として用意されているのは、レクサスLS600hlとセンチュリーの2台ですが、今回登場したのは2020年から運用されている現行モデルのセンチュリーでした。
もちろん防弾使用で様々な架装が加えられているとありますが、その詳細はセキュリティ上公開されていません。ただ、ホイールを見るとノーマルより1インチほど大きなホイールを装着しているのが見て取れるので、完全特注品であることがわかります。
参照元:https://www.press.bmwgroup.com/global/article/detail/T0038019EN/a-new-definition-of-maximum-security:the-new-bmw-7-series-high-security?language=en
続いて、アメリカを除くG7各国首脳が乗っていたBMWですが、こちらは1世代前のBMW7シリーズでした。使用された車両は、760Li High Securityと呼ばれ防弾レベルVR7以上と言われています。
このレベルは、ライフルの弾丸や対戦車地雷にも耐えられますから相当強固なボディといえます。
防弾使用にしたことで増大した重量に耐えられるよう、スプリングやショックアブソーバー、そして取り付けブッシュを強化品に変えてあります。
さらに、窓を開けることなく外部の人たちとコミニケションが取れるよう外部スピーカーとマイクが取り付けられているほか、襲撃を外部に知らせるアサルトアラーム、ガス攻撃を検知するアラーム、エンジンルーム内の出火を感知して自動消火するシステムも搭載されています。
そして、今回用意されたBMWはすべてBMWジャパンが貸し出した車両ということです。セキュリティ対策を考えた車両にメルセデスベンツもありますが、営業でBMWが勝ち取ったということでしょう。
参照元:https://twitter.com/RESCUE47265909/status/1659847386741743616
そして、本命の世界最強のクルマはまさしくアメリカバイデン大統領が乗るキャデラック・ワンです。
車名の後にワンが付く理由は、アメリカ大統領が乗る飛行機もエアフォース・ワン、船もマリン・ワンとワンが付くようにアメリカのトップが乗る乗り物、つまりNo1を意味しています。
そして、キャデラック・ワンがビーストと呼ばれるようになったのは、2009年のオバマ大統領時代です。堅牢なボディと搭載する武器や装備からビーストと呼ばれるようになりました。
今回にG7にやってきたビーストですが、7つの秘密があると海外のスパイサイトで発表されています。その内容を一つずつ解説します。
- 武器と防弾
まず一つ目は、攻撃者を撃退するために煙幕や120ボルトの電気ショックを持つドアハンドルが搭載されています。さらに、オイルを撒いて後ろからの追撃を追い払う装備もあるというからボンドカーも真っ青です。
このほか、ポンプアップ式ショットガン、グレネードランチャー、暗視装置、催涙弾まで装備しているというから、まさに走る武器と言えます。
重量は装甲の厚さや装備のせいで8トンから10トンあるといわれ、ボディの装甲板の厚みは約20cmです。さらに車体下部にしかけられた爆弾から守るために床下装甲板も取り付けられているほか、窓ガラスは44マグナムでも貫通しない約13cmの厚さの窓ガラスを使用しています。
内装は、化学兵器で攻撃されても完全密閉できるほか、パンクしても走行できる専用タイヤを装着しています。ただし、あまりにも重いので時速100キロメートルまで加速するのに15秒もかかります。
2、ビーストは1台じゃない
これは、広島サミットで走行しているキャデラック・ワンが2台いたので1台ではないことは確認できました。ナンバープレートはアメリカ本国ではすべて同じにしていますが、さすが日本ではナンバープレートの下一桁が違いました。
しかし、全く同一車両なので、どちらにバイデン大統領が乗っているか、テロリストにわかるすべがないといってよいでしょう。
3、ビーストの冷蔵庫は血液でいっぱい
ビーストは、緊急時に備えて大統領の血液型に合わせた血液を大量に搭載しています。また、酸素供給装置も搭載されており、攻撃されたときも車内に新鮮な空気が供給される仕組みにしています。
ビーストはリムジンなので最大7人が乗車できるので、万が一の時もすぐに大統領に駆け付けられる体制を取っています。さらに、一緒にSUVが走行しているのを目にしたと思いますが、そのうちの1台は軍医が乗っているといいます。
4、コミュニケーション機能
ビーストは装甲でおおわれているので、外部の音が入ってきません。そこで、外部の音はクルマの外に取り付けられたマイクで収音して車内のスピーカーで鳴らします。さらに、外部との通信は専用通信装置でコミュニケーションが取れます。
また、アメリカ大統領が緊急時にビーストの中から核兵器を発射に必要なコードを発信できるように最高級の通信設備を備えています。
5、車列
今回のG7での訪問では、それほど多くの車列はみられませんでしたが、アメリカではビーストを囲むように50台の車列で走行するようです。しかも常時100人程度のスタッフがおり、任務に応じて様々なシフトで活動しています。
さらに、今回登場したビーストに常に大統領が乗っているとは限らないようで、様々なことを想定して大統領警護にあたるため、攻撃者に対してビーストが囮になることもあるようです。また、ビーストが走行する数分前までに車列の監視車両が走っています。
もちろん、周りを囲むシークレットサービスのクルマも普通ではありません。「米国秘密情報局の郊外対策部隊」は、爆弾起動信号をロックする広範囲の無線周波数を送信する 2 つのアンテナを通じて、あらゆる遠隔爆発物を妨害できると話しています。
また、RPG や対ミサイル戦車が発射されたかどうかを検出できる電子戦センサーも備えています。
6、ビーストには野次馬が集まる
ビーストが走ると、アメリカ本国だけでなくほかの国でも多くの観衆が集まります。それが逆にテロの発生抑止の役に立っているといいます。
かつて、トランプ大統領時代の時に、森から車列に猛スピードで突っ込むクルマがありましたが、その様子は多くのスマホで撮影されており、その状況証拠からすぐに事件か事故か割り出せるといいます。
7、訓練を受けたシークレットサービスでもビーストの扱いは難しい
ビーストは全長が長いリムジンなので、道路によっては下を擦ってしまうことがあります。それは2011年にアイルランドで起きました。アイルランドのダブリンにある米国大使館からビーストを出すときに、ビーストの下からかなりの大きな衝撃音が聞こえました。
さらにもう少し古い2009年には、ロンドンの首相官邸から出るときに、Uターンに手間取る映像が世界中に配信されました。
このように、ビーストは非常に優れた防御力を持っていますが、それと引き換えに操縦性能が悪く、一歩間違えば大統領を危険な状態にしてしまうクルマであるという表裏一体のクルマです。
今回は、G7の各国首脳が乗ったクルマを紹介してきました。面白いのは、クルマの性能を日本はセキュリティの問題から公表していませんが、逆にアメリカは「これだけすごいから襲うなよ」といった意味を含めて一日内容を公開していることでしょう。
ビーストや日本の首相専用車など、各国首脳が乗る最強のクルマを日本で見られたことはかなり貴重なことでしょう。