ビックモーターの行いは論外!でも中古車業界は昔から闇が深い
ビックモーターの保険不正請求問題が日本中を賑わせていますが、中古車業界は昔から闇が深く、様々な問題を抱えてきました。そのたびに不正を正そうと法改正をして中古車業界の膿を出してきましたが、今も数多くの闇が潜んでいます。その闇について深堀します。
中古車販売というのは、ユーザーが使用したクルマを買取、それを転売して利益を得ている業種です。その方法は今も昔もそれほど変わりがなく、買い換えの時にクルマを下取りなどで手に入れてそれを販売しています。
そして、最近は買取店が多くなり、少しでも高く売りたいユーザーと少しでも安く買いたい買取店の攻防が激しさを増し、さらに一括査定の登場で買取は戦国時代と言ってもよいでしょう。その中で生き残るため、買取時にユーザーを騙すような話術で迫ってきます。
その話術を紹介します。
「このクルマの相場は15万円程度だけど今契約書にサインすれば25万円で買い取ります」
といった、本来の相場を知らないユーザーにウソの話を持ち掛け強引にクルマを持っていく。
出張査定を申し込み、査定に来てもらったら、しつこく居座りなかなか帰ってもらえず、最終的に根負けしてサインしてしまった。
査定ですごく良い金額だったので、即決で決めて契約したら、後日事故車だったと因縁を付けられ、違約金を取られた。
このような悪質な買取店は、現代においても暗躍しているのが実情です。その背景にあるのは、中古車は儲からない商売だからと言えるでしょう。
どういうことかというと、例えば仕入れに100万円出したクルマがあるとします。そのクルマに130万円のプライスを付けて売ろうとしますが、中古車は非常に値動きが激しいので、下手を打つとあっという間に、利益分として乗せていた30万円は相場の下落で飛んでしまいます。
つまり、中古車販売は博打に似た部分があり、その道で長年経験を積んでいても、計算を誤ると大損してしまうこともあるからです。
そこで、中古車販売店などは、オークションなどで仕入れた中古車を店頭で並べて売る期間を決め、仕入れ値を割るギリギリのところでオークションに再出品します。
そこで、利益が確定して終了ですが、オークションで買ったクルマをまたオークションで販売しても、それほど利益にはつながらず、あまりおいしい商売ではありません。
そこで、今から20年近く前に中古車業界では大手オークションサイトに狙いを定めて、一般ユーザーが販売する中古車を買い叩くという方法もありました。
大手オークションサイトでは、買取や下取りより高く売れることを知っている人は出品していましたが、クルマという特殊な商品であり、一般ユーザーが買って乗るということはほとんどなく、買い付けるのは中古車店というのが一般的でした。
つまり、中古車業界も、オークションや中古車買取よりお得に買える場を求めて、一般ユーザーが出品するオークションに目をつけ、言葉巧みに買い叩きました。
また、走行距離偽装問題も大きな問題になり世間を賑わせていたころに多かったのがメーター巻き戻しです。これも中古車店が、裏のルートで方法を共有してメーターを巻き戻し、あたかも走行距離が少ないように見せかけ販売していました。
修復歴も同様に不正が横行しました。はっきりいって、素人に修復歴アリかどうかなんて見分けがつきません。キレイに直っているクルマであれば、ほぼ修理した部分はわかりませんでした。
そのため、修復歴アリのクルマを無として販売する中古車店が続出し、これも大きな問題となり、修復歴についてしっかり明記するよう指導が入ります。
また、一般ユーザーにも、修復歴の見分け方について、レクチャーする本や雑誌なども続々登場し、修復歴への関心が高まり、今はほとんどこういった不正は見られません。
このように、中古車業界には多くの闇が渦巻いていましたが、一般ユーザーの声やメディアの発信により、こういった不正は正されてきていました。しかし、残念なことにビックモーターのような不正はいまだに横行しています。
その理由は、中古車販売は儲からないことが大きな理由でしょう。真面目にやっていては儲けが少ないので、グレーの部分で儲けを出すのが昔から行われてきました。
それがエスカレートすると、先ほどの事例のようなことが起き、そしてそれが社会に大きな問題として取り上げられるようになります。
中古車販売は、古物商の免許がなければできません。しかし、古物商の免許は管轄の警察署に出向けば、誰でも取得できます。もちろん、反社会勢力などには取得できませんが。
つまり、誰でも気軽に商売を始められる免許が取得できるわりに、その内情は非常に荒んでおり、業者間でも騙し合いなんてことも頻繁ですから、消費者を騙すことなどなんとも思っていないでしょう。
このようなことから、中古車を選ぶのは非常にリスクが高いと思われるかもしれませんが、中古車というのは、クルマを使用した後の状態なので、その問題を見抜く力さえあれば怖くはありません。
そこで、中古車を選ぶ場合や、クルマを買取に出すなら、クルマに詳しい方と一緒に行うのがベストといえます。