トラックの最高速度引き上げで高速道路は快適になるのだろか

 

大型トラックの規制速度引き上げを検討する有識者会議が始まったとニュースがありました。現在8トン以上のトラックは最高速度が80km/hと定められており、スピードリミッターが90km/hで作動するようになっています。

 

そして今、様々な事情により最高速度が引き上げられ、それに伴いリミッターも変更されるようなので、それについて考えてみました。

 

 

高速道路を走行しているとトラックが多く走っていることを皆さんもよく知っていることでしょう。特に夜間はトラックの走行が多く、高速道路はまるでトラック専用道路ではないのかと思うほどの路線さえあります。

 

トラックは、日本の物流を支えており、なくてはならない存在ですが、トラックは定められた規則の中であえぎながら今も走行を続けています。その一つが時間との闘いでしょう。

 

高速道路は知っての通り、ほとんどの路線で乗用車が最高速度100km/hに設定されていますが、大型トラックは80km/hのままです。この理由は、大型トラックはバランスが取りにくく、さらに重い荷物を積んでいるで、スピードを出すと危険であることが大きな理由です。

 

そして、高速道路での死亡事故の大半は、大型トラックが占めていたことから、2006年よりトラックにスピードリミッターが装着されるようになりました。制限速度に余裕速度を加え、90km/hでスピードリミッターが作動します。これが高速道路走行で多くの一般ドライバーに誤解を与えました。

 

 

自分の巡行速度より遅い速度で走るトラックを抜きにかかりますが、トラックは90km/hでスピードリミッターが利くので、それ以上の速度は出せません。

 

そのため、高速道路のいたるところでトラックが並走して走行するシーンが多くみられるようになります。

 

もちろん、一般ドライバーはスピードリミッターが利いて追い抜きに時間がかかっているなど知りませんから、単なる嫌がらせと感じる一般ドライバーも多くいます。

 

特に厄介なのは山間部の高速道路でしょう。登りに差し掛かり、重い荷物を積んだトラックが失速すると軽い荷物を積んだトラックは追い抜きにかかります。

 

しかし、抜くのに時間がかかるので下りになってしまうと、失速したトラックは速度を取り戻そうと加速します。これが高速道路で渋滞を誘発させる大きな原因ともいわれています。

 

 

この時点で、追い抜きされるトラックは、スピードを緩めて追い抜きさせればいいのに、なぜか頑張ってしまう。しかしそこには運行管理というもう一つの問題も潜んでいるようです。

 

つまり営業車であるトラックには、タコグラフが搭載されており、走行状態が全て営業所で把握できるシステムが取られています。走行のさせ方ひとつで燃費にも影響するため、安易に速度を落とすと会社側から注意受ける場合もあるといいます。

 

このような理由から、追い抜かれているからと速度を安易に落とすことができません。さらに時間との勝負で仕事をしている運送業なので、できるだけ速度は落としたくないし、下りになれば速度を早く戻したいと考えるようです。

 

しかもクルーズコントロール付のトラックも多いので、ほぼドライバーはクルマ任せで速度調整していることも原因と言えるでしょう。

 

この現状は一般ドライバーにとっても、先を急ぐトラックにとってもかなりの迷惑です。通常は最高速度80km/hなので、追い越し車線に出ることはほとんどないと思われますが、実情はリミッター作動速度ギリギリで走行するトラックが多いので、追い越し車線に出るトラックが後を絶ちません。

 

だからと言って、トラックを追い越し禁止にするのも物流に影響も出ますし、専用レーンの設置も相当な費用が掛かりとても現実的ではありません。

 

そんな中、速度リミッター解除のニュースは、トラックの追い越し車線並走問題を解決する策になるのではないかと考えます。

 

仮に100km/hに設定した場合、一般車両と同じになるので、かなり並走問題はなくなるのではないかと思います。ただし、すべてのトラックが100km/hで走行しようとすると、これまでと同じように100km/hで並走する事態が多発するでしょう。

 

そこで、制限速度改正をするなら、トラック業界並びにトラック会社もギリギリの速度で走行し続けないなど、独自に規制をかけるなど方策を取らないとだめなように感じます。

 

今回の法改正への動きは、トラックドライバーの働き方改革が主な理由だそうです。無駄荷待ちや駐車場での長期間待機などの問題解決の一つとされているようですが、スピードアップで働き方が大きく変わるとも思いません。

 

現代のトラックも先進技術を搭載し、事故率も大幅に減ったことから、一般車に近い制限速度で高速道路を走行できるようにしてもよいのではと個人的に考えます。

 

速く走行できれば、時短にもつながりトラックドライバーの働き方も変わります。さらに高速道路の交通の円滑になるはずなので、早く速度制限の上限引き上げ、そしてスピードリミッターの上限改正に踏み切ってもらいたいと考えます。