大手買取業者の不正問題の闇に迫る
参照元:https://www.bigmotor.co.jp/lib/news/news_list.php?id=678
先日、週刊誌に大手買取業者ビッグモーターの不正問題が特集され大きな話題となりました。SNS上でも炎上がそこかしこで起きており、ビッグモーターの闇はかなり深いのではないかと思う方も多いでしょう。
しかし、ビッグモーターの不祥事は、自動車業界の氷山の一角でしかありません。
6年連続買取台数日本一を誇るビッグモーターは、飛ぶ鳥を落とす勢いで成長してきました。その陰には並みならぬ従業員の努力があったと察することができます。
しかし、週刊誌に
「客のタイヤにネジを突き立てパンクさせて、工賃を請求」
「高級タイヤに取り替えたとウソをついて安価なタイヤを使い、
その差額を利益にしていた」
「車検を行っていたのは無資格のスタッフ」
などの暴露が掲載されると、業界にかかわったことがある方なら、「やっぱり」と思ったのではないでしょうか。
まず、買取業務というのは、買取したクルマと売却したクルマの差額を利益とする商売ですが、今のように買取店が乱立した状況では利益を大きく伸ばすのは難しいといえます。
とはいっても、査定金額を提示された後、引き上げ後に値引きされる事例は後を絶つことはなく、悪意ある方法で利益を上げている業者があります。
これはどういうことかというと、他店より高い査定金額でユーザーを引き留めて買取契約にサインさせます。そのあと、引き上げ後にクレームを入れて値引きさせ利益を出す手法です。
なぜこのようなことがまかり通るかというと、民法に契約不適合責任があるからです。これは、売ったクルマに瑕疵があった場合、売主に買主が損害賠償請求や契約解除ができるというものです。
買取査定時に不具合を見抜くのは査定士の役目と思う方もいます。しかし、査定士も100%クルマの不具合を調べるのは無理です。例えば走行させなければわからない異音などの不具合は、査定時には見つかりません。
そのため、少なからず本当に後から不具合が見つかるケースもあるため、購入者を保護するために設けられている法律です。
それが悪徳買取店でなくても、こういった法律を逆手に取り、あたかも高く買取するというように見せかけて、後から減額要求する事例はかなり増えているようです。
これを回避するには、査定時に隠すことなくクルマについて全て査定士に報告することです。
更に、査定終了した後、査定額に納得してサインする前には「全てクルマの不具合は伝えたので契約不適合責任に問わない」と一筆もらっておくと安心でしょう。
そして、昔から悪徳整備工場などで見られたのが修理費用の改ざんです。クルマの修理費用というのは、一般の方には内容がよくわかりません。
それに付け込んだ悪い方法ですが、その典型的なのが今回のタイヤに釘をさしたり、高級タイヤと偽って、格安タイヤを装着する事案です。
タイヤは走行の必要な重要保安部品なので軽視はできませんが、まだ見える部分だけましと言えるかもしれません。修理はクルマのパーツを外さなければ見えない部分が多々あるので、そういった部分に悪意を持って水増し請求することは昔から行われています。
さらに、資格がないのに車検をさせていた今回の事例ですが、これと似たようなことに整備士の資格がないのに分解整備させている事例も少なくありません。
もちろん、有資格者の監督のもと、整備の手伝いをしているならいいですが、完全に独り立ちした整備士として、資格がないのに修理を行っている中古車店などは昔から見られます。
では、これらの被害に遭わないためにどう対処すればよいのかと言えば、やはり素性の知れた整備工場にクルマを任せるしかありません。つまり、車検や修理を行き当たりばったりで探すのはかなり危険ということです。
中古車価格は、新車価格と異なり定価が決まっていませんから、消費者にはわかりづらい面が多いといえます。そのため、査定士にこの金額で買取しますといわれると、そんなものと思ってしまうことでしょう。
さらに中古車展示場のプライスボードを見ても、その金額が適正なのか調べるすべを消費者は持ち合わせていません。
こういった中古車業界の負の部分は、クルマ業界全体で是正していく必要がありますが、今はまだそういった動きはありません。今回の報道で少しはクルマ業界も動くかと思いましたが、ビッグモーターがだんまりを決め込んでおり、話がそれ以上進んでいないのが現状です。
もちろん、ビッグモーターが公式に謝罪を行えば済むことですが、上場企業でもないビッグモーターは、公の場に経営陣が出てくることもありません。
つまり、内容を暴露した週刊誌に続くことがマスコミにできないのです。
どういうことかというと、マスコミは事実を自分の足で確認して記事にしていますから、ビッグモーターから裏付けが取れる話がなければ、記事にできないからです。これが、今回の事件がほかのメディアで取り上げられない理由でしょう。
さらに今回の事例は、確かに車検や整備にも関わることなので、安全にも影響します。しかし実際に事故や事件が発生したわけでもないので、マスコミもそれほど大きな事件と感じていないのではないでしょうか。
今後、こういった事例はちょくちょく出てくることでしょう。自動車業界全体の体質が改善されない限り、これはかなり闇の深い問題と言えます。