CANインベーダーで高級車を57台も盗まれる事件が発生!防ぐ方法はあるのか

 

東京都練馬区で、特殊な装置をつかった車の窃盗事件が発生し、2人が逮捕されました。今年5月から57台にも及ぶ高級車を盗んでいたと供述しており、被害総額は3億円にも及ぶという報道がありました。

 

急速に広がる新しい窃盗技術であるCANインベーダーとはどんな方法なのか、そして対処方法はあるのか解説します。

 

近年、クルマの窃盗といえばリレーアタックが主流で、スマートキーの電波を複製して車を盗む方法でした。しかし、最近はCANインベーダーという方法が世界で主流の窃盗方法になっています。

 

CANインベーダーの大きな特徴は、スマートキーの電波を盗む必要がなく、特殊な機器さえあればそれを使用して盗み出せてしまう非常に恐ろしい方法です。

 

CANインベーダーで盗む方法とは、現代はクルマ中にCAN信号と呼ばれる配線が張り巡らされており、そこにアクセスすると開錠やエンジン始動ができてしまうことを利用した盗難方法です。

 

なぜCAN信号がクルマに張り巡らされているのかというと、現在のクルマにはOBDⅡと呼ばれる自動車の情報が集約されたターミナルのような機能があります。

 

主にクルマの状態を調べるために整備工場で専用のスキャンツールをつないでチェックするという話を聞いたことがあるでしょう。

 

このOBDⅡにアクセスできれば、クルマのドアを開錠し、エンジン始動もできてしまいます。そこで窃盗犯はOBDⅡにつながるCAN信号線に専用機器をつなぎ、クルマを開錠させ、そしてエンジンを始動させてしまいます。

 

 

OBDⅡにつないで窃盗していることから、CANインベーダーのことを海外ではOBD Port Theftといった呼ばれ方をしています。

 

そして問題なのが、CAN信号線がどこにあるのかということです。この信号線は運転支援システムやヘッドライトなどの配線につながっているので、クルマに少し詳しければ、どうやってアクセスすれば良いかわかってしまいます。

 

特に多いのが、フロントバンパーをサクッと一部だけ外してそこからアクセスするというものです。最近のクルマのバンパーは、差し込みクリップで止まっており、ねじ止めもM6のビスで数本止まっているだけなので、強引にフロントバンパーサイドを引っ張れば外れてしまいます。

 

そして、そこから手を入れてヘッドライト裏のコネクターにあるCAN通信用の配線に割り込ませてクルマを開錠させエンジンも始動させてしまうというものです。

 

しかし、この方法が使えるのはごく最近のクルマか、高級車のみと言ってよいでしょう。というのもヘッドライトはそもそもCAN通信をしていませんでした。

 

それがカーブでハンドルを切るとヘッドライトが動いたり、対向車の光で減光するなど、ヘッドライトに多種多様な機能を持たせた車種が出てきました。このような機能が作動するには、ほかの機能と通信させる必要があるのでCAN通信を使用したヘッドライトが装備されるようになっています。

 

 

つまり、ヘッドライトに多機能な装備があるとCANインベーダーの標的になると考えてよいといえます。さらに最近では、レーダーとLiDARセンサーを組み込んだヘッドライトも登場しており、CANインベーダーの標的にされてしまう恐れがあります。

 

では、CANインベーダーからどう守ればよいのかといえば、物理的ロックなどを組み合わせるのが基本と言えるでしょう。

 

 

まず、物理的ロックと言えばタイヤロックやハンドルロックがあります。これらのロックは、窃盗犯に対して盗むには手間がかかるという視覚効果も狙えるので効果的です。

 

 

ただしハンドルロックは、安い商品だと簡単に破壊されてしまうので、効果はそれほど期待できません。理想は2重や3重に物理ロックをして盗み出すまでに手間がかかることを認識させる工夫がポイントです。

 

そして所有者の手間が少なく窃盗犯に盗むのを諦めさせるには、CANインベーダーと切り離した盗難警報装置が有効です。

 

たとえば、バイパーやホーネットなどが有名ですが、高価な盗難防止装置を設置しておけばCANインベーダーから守ることも可能です。

 

まず、基本はどんなクルマでも必ずドアを開けなければ盗み出せないという事に注目しましょう。ドアを開けるとセンサーが反応し、大音量で警報音が鳴るセキュリティは効果があります。

 

さらに、強者はバッテリーを遮断しようとしますが、セキュリティ装置の中には独自のバックアップ電源を有する警報装置もあるので、バッテリーが遮断されても問題ないでしょう。

 

このほか、ダブルポイントループセンサーと呼ばれる、不正に車にアクセスを検知する盗難装置もあり、複数の盗難防止装置と組み合わせれば、CANインベーダーからクルマを守れます。

 

確かに高価なセキュリティシステムになりますが、大切な高価な愛車に何も対策しなければあっという間に盗まれその損害は測り知れません。数万円でクルマを守れるなら安い買い物だと思います。