『自動車税』について考えてみた。本来は裕福な人から徴収する財産税的な意味合いだった?

参照元https://www.pref.fukushima.lg.jp/sec/01115d/zeimu800.html

 

毎年5月になるとクルマを所有する人たちを悩ませる自動車税の納付書が届きます。排気量に応じて自動車税が決められていますが、現在は古いクルマに乗っていると増税が課せられています。

 

しかし本来自動車税は、クルマを持つなど裕福な人しかいなかった1950年に施工されたので、今の自動車税の意味合いとかなり異なっていました。そこで、自動車税の理不尽さを紐解いてみたいと思います。

 

自動車税は現在、ガソリン車なら登録から13年、ディーゼル車は11年経過で15%引き上げられています。それは、古いクルマは排気ガスが汚れていて、環境負荷が大きいため税金を多く徴収して新車への買い替えを促すのが目的です。

 

参照元https://pixabay.com/ja/photos/%e8%bb%8a-%e3%82%a2%e3%82%a6%e3%83%87%e3%82%a3-%e8%bb%8a%e4%b8%a1-1661767/

 

しかし、自動車税はもともと自動車など高嶺の花で一般庶民が持つことができなかった時代に制定されたので、今のような環境による税率など全く考えてもいませんでした。

 

本当に古いクルマは環境に悪いのでしょうか。

 

確かに最新のクルマに比べれば燃焼効率も悪く、排気ガスに含まれる一酸化炭素二酸化炭素、窒素酸化物、炭化水素粒子状物質など、多くの有害物質が含まれており、濃度も今のクルマより高くなっています。

 

しかし、古いクルマを利用しても走行距離が少なければ排出ガスは抑えられます。逆に、新しいクルマでも走行距離が多ければ排出ガスは多くなるでしょう。つまり、排出ガスの量は走行距離でも変わるのです。

 

そして、新車に乗り換える場合、クルマを製作するときに資源を多く消費するので、環境負荷はかなりのものだということを理解していない人が多くいます。つまり、古いクルマが環境に悪いからと新車に乗り換えると逆に環境負荷が大きいということになります。

 

そして今は新車納期が遅れており、新車購入を諦めて古いクルマに乗り続けている人も多くいますから、高い税金を払うのを余儀なくされている人たちもいます。

 

ほかにも公共交通機関が未発達の地域の田舎などでは、お年寄りが多く、しかもお年寄りは使い慣れた古いクルマに乗り続ける方が安心なので、新車購入などしません。

 

このように、古いクルマを使うのを余儀なくされている方たちから、高い税金を徴収しているのが今の国の政策ということです。

 

参照元https://global.nissannews.com/ja-JP/releases/release-5d5700d77dd2153884504703c6b87dfc-071024-01-j

 

特に解せないのが、現行モデルでも初期モデルでは増税になる車種もあります。例えば、日産GTRは、初期モデルは2007年登場なのですでに16年経過していることとなり増税対象です。しかし、2023年モデルは減税対象ではありませんが、増税対象ではありません。

 

エンジンは同じなのに、古いと増税になるこのシステムはかなり矛盾があるといえないでしょうか。もちろん、エンジンコントロールユニットやエキゾーストなどで改良は加えられていますが、それでも理不尽なことだと感じます。

 

しかしこのような増税対象となる古いクルマも、脚光を浴びているのも事実です。昨今、ネオクラッシックカーブームが巻き起こっており、かつては中高年の趣味の領域でしたが、最近は20代の若者にもその魅力が伝わってファン層を増やしています。

 

古いクルマの魅力は、現代のクルマにはないクルマと一体になって走れることであり、電子制御で作られたドライビングと異なり、ドライバーの運転技術が素直に反映されます。

 

さらに、古いクルマは、今のクルマより構造も簡単であり、自分でメンテナンスして乗り続けることも可能です。

 

しかし、古いクルマであるネオクラッシックカーは、すべて増税対象であり、高い自動車税を支払わなければ乗り続けられません。それでも古いクルマに惹かれる若者が増えていることは、クルマ離れが進むといわれる現代においてかなり注目してもよいことではないでしょうか。

 

参照元https://twitter.com/kingsofjdm/status/1650345103020503043

 

アメリカでは、25年ルールという法律が制定されていますが、これはアメリカでは古いクルマをクラッシックカーと認め輸入を認めた法律です。しかも排ガス規制も関税も撤廃されており、古いクルマを愛する人たちの強い味方の法律です。

 

さらにドイツではHナンバー制度と呼ばれる古いクルマをクラッシックカーと認め、「歴史的な」ということを意味する単語(historisch)の頭文字Hをナンバープレートの後ろにつけています。しかも自動車保険や税制も有利になっています。

 

このように、ほかの自動車大国では、古いクルマを優遇する制度があり、税金も新車よりお得になっていますが、日本では全く逆の政策がとられています。

 

つい先日、自動車工業会が走行距離税について反対の姿勢を示しました。このことは非常に評価できることだと感じます。しかし、古いクルマに対する自動車税増税にはだんまりを決め込んでいるのが不思議でありません。

 

自動車工業会が、自動車税増税に黙りこんでいるのは、新車を売りたい自動車メーカーを擁護しているからでしょう。この体質を是非改善して、古いクルマに対する増税反対に回ってほしいものです。

 

皆さんはどう思いますか。