車検ステッカーの位置変更をする狙いとユーザーへの影響

 

クルマのフロントガラスに貼られている車検ステッカーの貼付位置が、2023年7月から変更になるのをご存じでしょうか。今までルームミラーの後ろに貼っていましたが、運転席から見て右上の端に貼ることに法律で決められました。

 

なぜそのようなことになったのか、そしてもし違う場所に貼ったらどうなるのか調べてみました。

 

 

車検ステッカーはフロントに貼られていますが、正しくは車検標章と呼ばれます。車検を受けて合格すると車検証と一緒に交付されてフロントガラスに貼り付けられ、車検ステッカーには次回の車検満了時が外からも中からもわかるように印字されています。

 

つまり、車検ステッカーの役割は次の車検時をドライバーもそして外からも見て分かるようにしています。おもに外からの確認は、街頭での検査で車検切れでないかどうか、そしてガソリンスタンドやカー用品店などで車検切れの車両ではないかどうか確認しています。

 

ここで本題の車検証のステッカーの位置変更が発表された理由ですが、車検切れのクルマを減らすのが目的と国土交通省は発表しています。

 

どういうことかというと、無車検で走行するクルマが実に多いことが問題になっており、その理由の一つに車検ステッカーと考えているようです。

 

実は車検ステッカーは、2004年まで7cm×7cmと非常に大きなステッカーでした。そして軽自動車は黄色一色でしたが、普通車は車検切れの年がわかるようにレッド、グリーン、オレンジ、ブルーの4色に分けられており、整備工場などでは色により車検の年を見極めていました。

 

 

それが、2004年に国土交通省のシステムが変更になり、それに合わせて車検証と車検ステッカーのデザインが変更されました。これにより、車検ステッカーの色分けがなくなり、しかも3cm×3cmと非常に小さくなり、さらに透明の4cm×4cmのシールを貼っていました。

 

この小ささが、整備工場をはじめ多くの方から見にくいと不評がありました。たしかに、今までの色分けされた大きなステッカーと違い一目でいつ車検かわからないのは、自動車業界ではかなり仕事がやりにくくなったといえるでしょう。

 

同時に、車検ステッカーが小さくなったことで、フロントウィンドウに主張するステッカーがなくなり、ドライバーの目にも止まらなくなりました。そこで、2017年に少しデザインを変更して透明部分の4cm×4cmまでステッカーを大きくし、透明の余白を無くした車検ステッカーにしました。

 

これで今までの車検ステッカーより幾分見やすくなりましたが、それでも依然として無車検車両は多く存在し、国土交通省も頭を悩ませていたようです。そこで今回の車検ステッカーの貼付位置を変えるということになりました。

 

車検ステッカーを貼付について、クルマを所有してから一度も自分で貼ったことがない人もいるはずです。その理由は、車検整備業者のサービスが関係しているからです。

 

まず、ディーラーや整備工場など指定工場で車検を受けると、助手席側のフロントガラスに保安基準適合標章が貼られているのを見たことがある方も多いでしょう。これは、車検を受けて合格したことを示すステッカーで、新しい車検証と車検ステッカーが発行されるまでの仮のステッカーです。

 

 

そして、新しい車検証と車検ステッカーが発行されるとディーラーや整備工場から連絡があり、それを取りに行きます。その時に新しい車検ステッカーに貼り換えてくれる整備工場もあれば、車検シールと車検証を手渡しされ、自分で貼るよういわれる場合もあります。

 

そのため、車検工場の選択によっては、毎回自分で車検ステッカーを貼っているという方もいるでしょう。ここが今回問題といえ、自分で貼る時に指定された場所に車検ステッカーを貼らないと50万円以下の罰則もあるので注意が必要というわけです。

 

貼付する場所は、車検に出したときに車検工場のスタッフからレクチャーがあると思いますが、今年中の車検なら対応する業者が多いと予想されます。しかし、仮に今年クルマを新車で購入すると、最初の車検は3年後になるので、その時まで整備工場で車検ステッカーの貼付位置をレクチャーしているとは思えません。

 

つまり、今回の法改正で一番注意しなければならないのは、エンドユーザーの私たちであり、しっかりと今の内から車検ステッカーを貼る位置を覚えておく必要があるでしょう。

 

 

今回の法改正で、車検ステッカーは運転席側のフロントガラス右端と決まりましたが、左ハンドルの場合は、左上端になるので注意が必要です。

 

さらに、その場所への貼付が難しい車両は、車両中心から可能な限り遠い位置で貼れる場所に添付するように指示しており、ここも曖昧なので実際どこに貼ればよいかは各自整備工場などで相談したほうが良いでしょう。

 

しかし、車検ステッカーを見えやすい位置へ変更したからと言って、車検切れのクルマが減るとは思えません。

 

車検切れで乗っている人の多くは、車検ステッカーさえ見ていないからです。車検は使用者の義務ですから、貼る位置云々法律で罰則を決めるより、ドライバーが見やすい場所に貼ると決めたほうが理にかなっていると思うのは私だけでしょうか。

 

ただ、今回の法改正で車検ステッカーの貼付位置が変わり、それに違反すると罰則もあるので十分貼る位置には注意しましょう。